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村上春樹が語るアメリカ体験や学生紛争、オウム事件と阪神大震災の衝撃を河合隼雄は深く受け止め論じ合う、意欲的な長編対談。
特に感想を書くような内容でもないのだが、とりあえず読んだ作品であるし、非常に面白かったので軽く触れておこう。
題名で何となく想像がつくように本作は対談集である。短い内容であるが、村上春樹ファンとしては興味深く、いままでの作品群と関連させて読んでいくと面白い。
「風の歌を聴け」の頃のデタッチメントの捉え方。「ねじまき鳥」での暴力やノモンハンの描き方。そして作家が見てきたアメリカでの姿と日本の姿等、なるほどと頷いたり、そんなこともあるんだな、と感じたりしながら読み進むことができる。村上春樹という作家がどんな風にして作品を考え、築き上げたかがよく見えてくる。
しかし河合隼雄という人は懐の深い人だというのがよくわかる。二人の会話から導き出される種々の考え方は別の世界観の姿を見せてくれるようだ。
個人的にはアメリカの論理的な姿勢について語られているところが面白かった。日本とは確かに捕らえ方が違うようだ。日本語という言語を駆使しているものにとって、日本的なものを忌避しようと、その存在から逃れることができないものであるらしい。
評価:★★★(満点は★★★★★)
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